まず品川~名古屋間での開業を目指し、JR東海が建設を進めている中央新幹線。
これまでの新幹線が採用してきた鉄輪方式ではなく、約100mm浮上して最高速度500km/hで走る磁気浮上方式の「超電導リニアモーターカー」を採用することで、品川~名古屋間を40分、品川~大阪間を67分で結ぶ予定です。
この「未来の乗り物」に、ひとあし早く乗車する方法があります。
超電導リニアモーターカーへ、取材で複数回乗車したことがある鉄道ライターの恵 知仁が、その経験を元にご紹介。普通の新幹線とは違う部分ばかりで、子供への教育的な意味ではもちろん、大人にとってもかなりの刺激になりますよ!
超電導リニアに乗車する方法
JR東海は定期的に、山梨実験センター(山梨リニア実験線)で超電導リニアモーターカーの体験乗車イベントを実施しています。これに参加すれば、超電導リニアモーターカーに乗車して「500km/hの世界」を楽しむことが可能です。
山梨リニア実験線は、超電導リニアモーターカーの研究・開発のため、建設されました。1997年(平成9年)から走行試験が始まり、将来その線路は、リニア中央新幹線の一部になります。
なお、山梨リニア実験線では2015年(平成27年)、鉄道で世界最速の603km/hが記録されました。
山梨実験センターのホール(?)には、「Fastest maglev train(最も速い磁気浮上式鉄道)」というギネス世界記録の認定証が飾られています。体験乗車イベントで見られるかもしれません。
山梨実験センターへの行き方
超電導リニアモーターカーの体験乗車イベントが開催されるJR東海の山梨実験センターは、山梨県都留(つる)市小形山271-2にあります。富士山の北東側で、東京から見て「大月(おおつき)のちょっと先」というイメージでしょうか。
路線バス
JR中央本線の大月駅から、県立リニア見学センター行きの路線バス(富士急バスのリニア見学センター線)に乗り、約15分で、終点の県立リニア見学センターへ到着。そこから数分歩くことにより、体験乗車イベントが開催されるJR東海の山梨実験センターに着くことができます。
大月駅と県立リニア見学センターを結ぶ路線バスは、1日に5往復の運転です。なお、山梨県立リニア見学センターの休館日(原則として月曜日)は運休になります(体験乗車イベントは通常、月曜日には実施しないと思われるので、大丈夫かと思いますが)。
- 県立リニア見学センター行き
- 大月駅8時45分発、9時45分発、10時45分発、12時45分発、13時45分発
- 大月駅行き
- 県立リニア見学センター11時15分発、13時15分発、14時40分発、16時15分発、17時15分発
路線バスの運賃(大月~県立リニア見学センター)は、片道大人380円、子供190円。Suica、PASMOなどの交通系ICカードも利用できます。
高速バス
JR東海の山梨実験センターから約1km、徒歩15分ほどの場所に、中央道小形山(おがたやま)バス停があり、富士五湖方面と新宿、町田、藤沢などを結ぶ高速バスが停車します。
午前中にバスタ新宿を出発し、この中央道小形山バス停に止まる高速バスは、10分から30分に1本ほどの運転頻度。運賃は、バスタ新宿から1700円、中央道八王子バス停から950円などです(Web予約の大人片道運賃)。
タクシー
JR中央本線の大月駅からタクシーを利用すると、JR東海の山梨実験センターまで約6km、所要時間およそ15分。片道2500円から3000円程度の料金で、行くことができます。
なお、山梨実験センターの最寄り駅は富士山麓電気鉄道(富士急行線)の禾生駅、田野倉駅(ともに山梨県都留市)ですが、両駅にはタクシーが常駐していません。
徒歩
JR東海の山梨実験センターへ徒歩で向かうのであれば、JR中央本線の大月駅で乗り換えできる富士山麓電気鉄道(富士急行線)の禾生(かせい)駅、田野倉(たのくら)駅からでしょうか。両駅とも特急は通過。大月駅からの所要時間は10分前後です。
- 禾生駅から山梨実験センターまで
- 約1km、徒歩およそ16分
- 田野倉駅から山梨実験センターまで
- 約1.7km、徒歩およそ25分
距離、所要時間はGoogleマップによります。なお山梨実験センター入り口は、建物の西を通る道路側です。
自動車
JR東海の山梨実験センターへは、中央自動車道の大月インターチェンジから約6.5km、およそ15分です。Googleマップによると、自動車で平日の朝8時ごろに新宿駅を出発したとして、山梨実験センターまでの距離は83.7km、所要時間は1時間10分から30分とのこと。
なお、超電導リニアモーターカー体験乗車用の駐車場はありません。体験乗車とあわせての訪問をオススメする山梨県立リニア見学センターには、無料の駐車場があります。
また、山梨県立リニア見学センターから600mほどの場所に「道の駅 つる」があり、地元産品の買い物、食事、休憩などが可能。「RV Park つる」も運営されており、快適な車中泊ができます。
あわせて楽しめる場所は?
JR東海の山梨実験センター周辺には、先述した山梨県立リニア見学センター、「道の駅 つる」のほか、富士山、富士五湖、富士急ハイランド、果物狩りといった、多くの子供と一緒に楽しめる観光地、体験、アクティビティがあります。
また、近くを走る富士山麓電気鉄道(富士急行線)には、「富士山ビュー特急」「フジサン特急」「トーマスランド25周年記念号」といった、乗って楽しい観光列車が走っています。
泊まれる場所は?
JR東海の山梨実験センター周辺に、ホテルや旅館はそれほどありませんが、すぐ近くの富士五湖エリアは人気行楽地です。ビジネスホテルから温泉旅館、リゾートホテルまで、いろいろな宿泊施設が営業しており、キャンプ場もあります。
先述の通り、周辺には見どころも多いので、超電導リニアの体験乗車に当選したら宿泊して、周辺観光もあわせて楽しむと、いい思い出がもっと増えるかもしれませんね。
次の体験乗車はいつ?
次に超電導リニアモーターカーへ体験乗車できる機会は、以下のイベントです。
- 超電導リニア体験乗車
- 【受付終了】特に応募資格などはいらない、一般向けの超電導リニアモーターカー体験乗車イベントです。2024年の3回目が、10月24日(木)、25日(金)に開催されます。
- 東海道新幹線開業60周年記念「わく鉄スタンプラリー」
- 【受付終了】スタンプを集めて応募すると、10組20名に超電導リニアモーターカー体験乗車が当ります。2024年10月23日(水)開催。
- 走行距離500万キロ記念! 超電導リニア体験乗車が当たる! Xキャンペーン
- 【受付終了】X(旧Twitter)から応募すると、100組(200座席)に超電導リニアモーターカー体験乗車が当ります。2024年10月23日(水)開催。
- TOKAI STATION POINT 10周年 × 東海道新幹線60周年キャンペーン
- 「TOKAI STATION POINT」アプリから応募すると、20組40名に超電導リニアモーターカー体験乗車が当ります。2025年3月26日(水)開催。
なお、超電導リニアモーターカーの体験乗車は、実験線沿線の山梨県民向けなども実施されていますが、ここでは一般向けのものをご紹介します。
体験乗車の申込方法
超電導リニアモーターカーの体験乗車は基本的に、応募して当選する、選ばれる、といった形で行えます。いち早く予約すれば乗車できる、というものではありません。
体験乗車企画への申し込みは通常、パソコンやスマートフォンを使って、インターネットから行います。
また体験乗車の募集は通常、2席を1区画とし、その1区画単位で行われます。3人で超電導リニアモーターカーへ乗車したい場合、2区画で申し込みむ形です。料金も、人数ではなく区画単位になります。
申し込み受付中の体験乗車
現在、募集が行われている超電導リニアモーターカー体験乗車イベントは、次の通りです。
TOKAI STATION POINT 10周年 × 東海道新幹線60周年キャンペーン
アプリからのエントリーで超電導リニアモーターカーの体験乗車へかんたんに応募できる、「TOKAI STATION POINT 10周年 × 東海道新幹線60周年キャンペーン」の概要です。
- 開催日
- 2025年3月26日(水)
- 集合時間
- 16時15分
- 募集人数
- 20組40名
- 料金
- 無料(現地までは各自負担)
- 応募期間
- 2024年9月22日(日)から、10月12日(土)まで
- 応募方法
- 「TOKAI STATION POINT」アプリからエントリー
- 当選通知時期
- 2024年10月18日(金)
応募できるのは日本国内在住の18歳以上で、日本国内在住者を1人まで同伴可能。子供の参加も可能ですが、小学生以上は子供でも参加人数に数えます。しかし未就学児で、大人の膝の上にのせるなどで座席を使わない場合、別に2人まで同伴可能です(年齢は応募時点が基準)。
この「TOKAI STATION POINT 10周年 × 東海道新幹線60周年キャンペーン」では、「ドクターイエロー」体験乗車なども当ります。
キャンペーンの詳細は、「TOKAI STATION POINT 10周年 × 東海道新幹線60周年キャンペーン」のページをご覧ください。
体験乗車の当選倍率は?
一般向けのイベント「超電導リニア体験乗車」の当選倍率について、JR東海に取材したことがあるのですが、公表はしていないとのことでした。
ただ、いろいろな情報を総合した結果、かなり倍率が高いのは確かな模様。そうかんたんには当らなくて、なんの不思議もないかもしれません。
ちなみにテレビ山梨の報道によると、2024年7月開催の山梨県民向け「超電導リニア体験乗車」では、当選倍率が10倍だったとのこと。一般向けの当選倍率は、少なくともそれよりは高いでしょう。正直、10倍どころではなさそうに思います。