電車に乗るとき、子供でも切符が必要な場合があります。大人料金と同額の切符が必要になる場合もあります。
どんな場合に、子供でも切符が必要になるのでしょうか。また子供の切符について、料金はどう計算されるのでしょうか。
このページではJR各社、大手私鉄など日本の鉄道における一般的な子供切符のルールを、子鉄の息子がいる鉄道ライターの恵 知仁が、例を使ってわかりやすく解説します。
最初に結論を言えば…
- 小学校入学年の3月31日まで(未就学児)
- 切符を持った保護者が同行していれば、子供は切符なしで乗車できます。が、保護者がいても、子供がその膝の上ではなく、指定席にひとりで座る場合などは、子供料金の切符が必要です。
- 小学校入学年の4月1日から
- 子供料金の切符が必要です。
- 中学校入学年の4月1日から
- 大人料金の切符が必要です。
子供の切符に関係するタイミングは、「何歳から」ではなく「小学生になるとき」「中学生になるとき」です。
このページでは、そうした子供の切符のルール、料金について詳しく説明、解説しています。未就学児でも切符が必要な場合は結構あるので、ぜひこの先もお読みください。
子供切符「必要」な場合
電車を利用する子供が、次の条件に当てはまる場合、子供料金の切符が必要です。なお中学生からは、大人料金の切符が必要になります。
- 小学生である
- 指定席などを未就学児が1人で使う
- 団体(ツアー)で乗車する
- 未就学児が1人で乗車する
- 未就学児の人数が多い
(1)小学生である
子供料金の切符が必要なのは、6歳から12歳までですが、基準は誕生日ではなく、「小学生かどうか」です。
小学校入学年の4月1日から、卒業年の3月31日までは、子供料金の切符が必要。小学校の入学式前でも4月になっていれば子供料金の切符が必要で、小学校の卒業式後であっても3月なら、子供料金の切符で電車に乗ることができます。
- 新小学一年生が3月31日に乗車する場合
- 切符は不要(ほかの「切符が必要になる条件」に当てはまらなければ)。
- 新小学一年生が4月1日に乗車する場合
- 小学校の入学式前でも、子供料金の切符が必要。
- 新中学一年生が3月31日に乗車する場合
- 小学校の卒業式後でも、子供料金の切符で乗車可能。
- 新中学一年生が4月1日に乗車する場合
- 中学校の入学式前でも、大人料金の切符が必要。
特例
4月から中学生になる小学生が、3月31日までに使い始めた子供料金の乗車券なら、4月1日以降もその乗車券の有効期限内に限り、そのまま使うことができます。
この乗車券と一緒に使う場合は、特急券なども子供料金の切符でOKです。
ただし定期券、回数券は対象外。4月1日以降に、子供料金の定期券、回数券を使うことはできません。
(2)指定席などを未就学児が1人で使う
未就学児(以下、乳児を含む)でも、ひとりで1人分の指定席を利用する場合は、子供の切符が必要になります。乗車整理券が必要な列車も同様です。
ただその場合でも、自由席であれば子供の切符はいりません。
例
未就学児が1人分の指定席を利用する場合、指定席券だけ買えばいい、ではなく、子供が乗車する際に必要な切符すべてを購入する必要があります。
- 親に連れられた未就学児が、親の膝の上にのって乗車
- 子供の切符は不要。
- 親に連れられた未就学児が、1人分の座席(普通車指定席)を使って乗車
- 子供料金の切符が必要(特急列車の場合、子供料金の乗車券と指定席特急券)。
- 親に連れられた未就学児が、1人分の座席(グリーン車指定席)を使って乗車
- 子供料金の切符が必要(特急列車の場合、子供料金の乗車券と特急券、大人料金と同額のグリーン券)。
- 親に連れられた未就学児が、1人分の座席(普通車自由席)を使って乗車
- 子供の切符は不要。
- 親に連れられた未就学児が、1人分の座席(グリーン車自由席)を使って乗車
- 子供の切符は不要。
東武鉄道や西武鉄道、小田急電鉄、京成電鉄、近鉄などでは、特急列車がすべて指定席です。親の膝の上ではなく、ひとりで席に座らせたければ、未就学児でも子供料金の切符(乗車券と特急券)が必要です。
(3)団体(ツアー)で乗車する
未就学児でも団体旅行(ツアー)で乗車する場合は、小学生と同様の扱いになります(子供料金が必要)。1歳未満の乳児は無料です。
(4)未就学児が1人で乗車する
未就学児でも、小学生以上の引率なしで、ひとりで乗車する場合、子供料金の切符が必要です。
(5)未就学児の人数が多いとき
引率者(小学生以上)1人につき、切符なしで乗れる同伴の未就学児は2人まで。それより多くの未就学児が同伴する場合、越えた未就学児分の切符(子供料金)が必要です。1歳未満の乳児は数に含みません。
子供切符「料金」は?
基本的に、子供切符の料金は大人切符の半額ですが、利用する鉄道会社や座席などによって異なる場合があるため、注意が必要です。
- 乗車券(運賃)
- 子供の運賃は、大人の半額。
- 特急券・急行券・指定席券
- 子供切符の料金は、大人の半額。
- グリーン券・寝台券・乗車整理券
- 特別な設備、サービスを利用するための切符は、子供も大人も同額の料金が必要。グランクラスも同様。
- 入場券
- 子供切符の料金は、大人の半額。
- フリー切符などのお得な切符
- 多くの場合、子供切符の料金は大人の半額ながら、切符によって異なるため注意が必要。「青春18きっぷ」など子供用がない切符、JR東日本の「週末パス」など子供用は特に安くされている切符も存在。
電車に乗るときどんな切符が必要か、詳しくは次のページをご覧ください。
料金計算の例
例に挙げている料金は、通常時のものです。時期によって変動する場合があります。
- 新幹線「のぞみ」普通車指定席で、東京駅から名古屋駅まで
- 大人の料金は、乗車券6380円、指定席特急券4920円で、あわせて1万1300円。子供の料金は、乗車券3190円、指定席特急券2460円で、あわせて5650円。
- 新幹線「のぞみ」グリーン車指定席で、東京駅から名古屋駅まで
- 大人の料金は、乗車券6380円、特急券4390円、グリーン券4190円で、あわせて1万4960円。子供の料金は、乗車券が3190円、特急券2190円、グリーン券4190円で、あわせて9570円。
- 湘南新宿ライン普通列車のグリーン車に、鎌倉駅から新宿駅まで、大人2人、小学生1人、未就学児1人で、Suicaを使い乗車
- 大人の料金は、乗車券945円×2、グリーン券1000円×2で、あわせて3890円。子供の料金は、乗車券470円×1、グリーン券1000円×1で、あわせて1470円。未就学児は、座席を使っても無料。
寝台車を利用する場合
「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」といった寝台列車で、その寝台を子供が1人で利用する場合、小学生でも未就学児でも、子供料金の切符が必要です。
ただ、寝台は大人と子供、子供と子供の2人で利用することも可能。その場合、必要な切符は次の通りです(寝台特急の利用を想定)。
- 大人1人、小学生1人がひとつの寝台を利用
- 大人料金の寝台券1枚、乗車券1枚、特急券1枚、子供料金の乗車券1枚、特急券1枚。
- 大人1人、未就学児1人がひとつの寝台を利用
- 大人料金の寝台券1枚、乗車券1枚、特急券1枚。
- 小学生2人がひとつの寝台を利用
- 子供料金の寝台券1枚、乗車券2枚、特急券2枚。
- 小学生1人がひとつの寝台を利用
- 子供料金の寝台券1枚、乗車券1枚、特急券1枚。
- 未就学児1人がひとつの寝台を利用
- 子供料金の寝台券1枚、乗車券1枚、特急券1枚。
作ると便利「子供用ICカード」
子供でも、切符の代わりにSuica、PASMO、ICOCAといった交通系ICカードを乗車券として使って、電車に乗ることができます。子供用として設定された交通系ICカードを使い自動改札にタッチすると、子供の運賃が引き落とされる形です。Suicaグリーン券としても使えます。
子供用の交通系ICカードは、子供の年齢を確認できるもの(保険証など)を持って、駅の窓口などで申し込めば購入可能。未就学児でも買うことができ、有効期限は小学校卒業年の3月31日までです。
便利なのでぜひ購入をオススメしたいところですが、使用する交通系ICカードによって細かいルール、購入できる場所などは異なるため、詳しくは次のページをご覧ください。Suica、PASMOについて説明していますが、ほかの交通系ICカードも、基本的には同様です。
ズルはバレる?
中学生なのに子供料金の切符を使う、小学生なのに未就学児のふりをする、ダメです。
自動改札機には、子供の切符を入れると「子供が自動改札機を通った」ことを知らせるしくみがあります。
子供の年齢が実際より上に見られてしまいがちな場合は、保険証のコピーなど年齢がわかる書類を子供に携帯させ、必要に応じて提示させるとよいでしょう。
不正乗車がバレた場合
JRは旅客営業規則で、「不正乗車が発覚した場合、正規の料金の3倍を請求する」としています。
もし中学生が子供料金の切符で、東京駅から名古屋駅まで新幹線「のぞみ」普通車指定席に乗車し、年齢詐称による不正が発覚した場合、その子供料金の切符は無効になったうえ、正規料金1万1300円の3倍、3万3900円が請求されます。