電車に乗るとき、便利な交通系ICカード「Suica」「PASMO」。子供用も購入でき、自動改札機を通過するときは「子供の運賃」が自動的に引き去られます。定期券にすることも可能です。
ただ子供用のSuicaやPASMOは、購入方法が異なり、使用期限が設定されているなど、大人用のSuica、PASMOとは、いろいろ違う点があります。
このページでは、JR東日本の交通系ICカード「Suica」、関東地方の私鉄などが発売する交通系ICカード「PASMO」の子供用について、子鉄の息子がいる鉄道ライターの恵 知仁が、わかりやすく解説します。
最初に結論を言えば…
- JR東日本をよく使う場合
- 子供の年齢を確認できる公的証明書(保険証など)と、1000円以上のお金を持って、JR東日本のSuicaエリア内の駅にある「みどりの窓口」「話せる指定席券売機」に行き、子供用Suicaを購入しましょう。
- JR東日本以外をよく使う場合
- 子供の年齢を確認できる公的証明書(保険証など)と、1000円以上のお金を持って、よく使う鉄道事業者の駅に行き、子供用PASMOを購入しましょう。
この結論を書いた理由、具体的な購入方法などについて、このページでは詳しく説明、解説しています。可能性は高くないですが、この結論が当てはまらないこともあり得ますので、ぜひこの先もお読みください。
SuicaとPASMOの違い
SuicaとPASMOは、それぞれ発行、発売する会社が異なります。
- Suica
- JR東日本、東京モノレール、東京臨海高速鉄道(りんかい線)が発行、発売する交通系ICカード乗車券。
- PASMO
- 株式会社パスモが発行し、おもに関東地方の私鉄、バス事業者が発売する交通系ICカード乗車券。
SuicaもPASMOも、ソニーの非接触型ICカード技術「Felica」のしくみを使っており、機能、使い方は基本的に同じ。いわゆる「交通系ICカード」のひとつで、全国の対応する公共交通機関、店舗などで利用可能です。
SuicaとPASMO どっちがいい?
SuicaとPASMO、どちらを選ぶとよいのでしょうか。
使い勝手自体は基本的に同じなのですが、特典を考えると違いが出てきます。
Suica・PASMOで違う「特典」
JR東日本では、乗車回数に応じてポイントがたまるサービスを導入していますが、「JRE POINT WEBサイトに登録したSuica」での利用が対象。PASMOは対象外です。
PASMOも同様で、たとえば西武鉄道の乗車回数に応じてポイントがたまるサービスでは、「乗車ポイントキャンペーンにエントリーのうえ、スマイルリンク登録したPASMO」での利用が対象。Suicaは対象外です。
こうしたPASMO利用でのポイントサービスを行っているおもな鉄道事業者は、西武鉄道のほか小田急電鉄、京王電鉄、京急電鉄、相模鉄道、東急電鉄、都営地下鉄、東京メトロ、東武鉄道があります。
選ぶポイント
SuicaとPASMO、どちらにするかは、ポイ活でどっちがお得になるかという観点から、「どの鉄道会社をよく利用するか」で選ぶとよいでしょう。
よく利用するのがJR東日本の場合はSuica、小田急電鉄や東急電鉄といったPASMOを発売している鉄道事業者ならPASMO、です。
なお子供用のSuica、PASMOは、子供1人につきどちらか片方を1枚しか購入できないため、注意が必要です。子供用Suica、子供用PASMOの2枚持ちはできません。
この点にも注意
どの交通系ICカードを選ぶかにあたって、次の点も考慮する必要があります。
- SuicaはJR東日本のSuica、モノレールSuica、りんかいSuicaの3種類がありますが、鉄道の利用でポイント(JRE POINT)がたまるサービスは、JR東日本のSuicaだけが対象です。買い物によるJRE POINTは、どのSuicaでもたまります。
- PASMOを発売している鉄道事業者のなかには、特にPASMO利用の特典を用意していない鉄道事業者もあります。1番多く利用する鉄道事業者がそうだった場合、2番目に多く利用する鉄道事業者がJR東日本であれば、PASMOではなくSuicaにして、JRE POINTをためたほうがよいかもしれません。
- 年会費が必要で、制約もありますが、子供用でもオートチャージできるのはPASMOだけです。詳細は後述する「オートチャージできる?」をご覧ください。
- 交通系ICカードを使った見守りサービスを利用したい場合、JR東日本、東京都交通局、東京メトロの「まもレール」はSuicaとPASMO、どちらでも利用できますが、東急セキュリティの「エキッズ」はPASMOでしか利用できません。
子供用Suica・PASMOの作り方
子供用のSuica、PASMOは、購入時に子供の氏名、生年月日などの登録が必要です。そのため、子供の年齢を確認できる公的証明書(保険証など)を持って、駅で申し込む必要があります。
未就学児でも、子供用のSuica、PASMOを購入可能です(それを使って乗ると子供運賃を引き去り)。
子供本人がそこにいなくても、家族が代理購入することもできます。もちろんその場合も、子供の本人確認ができる公的証明書(保険証など)が必要です。
発売価格
発売価格は、Suicaだと1000円、2000円、3000円、4000円、5000円、1万円から選択可能。PASMOは1000円以上2万円まで、1000円単位で選択できるようです。
なお、発売価格には預かり金(デポジット)が含まれており、実際に利用できる金額は500円少ない額。預かり金は、カード返却時に戻ってきます。
子供用Suica、PASMO定期券の発売価格は、利用する区間の通学定期運賃に、預かり金500円を追加した金額です。購入時点でのチャージ額は0円なので、必要であればチャージします。
子供用Suicaを購入できる場所
鉄道事業者によって異なりますが、子供の年齢を確認できる公的証明書(保険証など)を持参して、駅の窓口で購入する形が基本です。
- JR東日本
- Suicaエリア内にあるJR東日本の駅の「みどりの窓口」「話せる指定席券売機」、JR東日本の新幹線停車駅にある「みどりの窓口」で購入可能。「話せる指定席券売機」では、オペレーターを呼び出して購入。
「話せる指定席券売機」は、上のリンク先で「『話せる指定席券売機』あり」となっている駅にあります。
- 東京モノレール
- 昭和島駅、整備場駅を除く各駅で購入可能。子供用のSuica定期券は、浜松町駅、天空橋駅、羽田空港第1ターミナル駅、羽田空港第2ターミナル駅で購入可能。どちらも、駅係員への申し出が必要。
- りんかい線
- 大崎駅を除く各駅の窓口で購入可能。
子供用PASMOを購入できる場所
鉄道事業者によって異なりますが、子供の年齢を確認できる公的証明書(保険証など)を持参して、駅の窓口や自動券売機で購入する形が基本です。
- 小田急電鉄
- 駅の定期券販売窓口、各駅の定期券発売機能つき自動券売機(駅係員への申し出が必要)で購入可能。
- 京王電鉄
- 各駅の窓口などで購入可能。
- 京急電鉄
- 駅係員への申し出で購入可能。
- 京成電鉄
- 駅窓口で購入可能。
- 相模鉄道
- 各駅の自動券売機、定期券発売所で購入可能。
- 新京成電鉄
- 各駅の自動券売機で購入可能(遠隔監視システム導入駅では窓口営業時間に限る)。
- 西武鉄道
- 各駅で購入可能(駅係員への申し出が必要)。
- つくばエクスプレス
- 各駅の窓口、定期券販売所で購入可能。
- 東急電鉄
- こどもの国線を除く各駅の券売機(駅係員への申し出が必要)、定期券うりばで購入可能。
- 都営地下鉄
- 各駅の自動券売機、定期券発売所で購入可能。
- 東京メトロ
- 駅事務室、定期券うりばで購入可能。
- 東武鉄道
- 各駅、定期券うりばで購入可能(無人駅と相老、赤城、新藤原、寄居駅を除く)。
- 北総鉄道
- 各駅の窓口で購入可能。
- ゆりかもめ
- 新橋駅、豊洲駅の定期券発売所で購入可能。
- 横浜市営地下鉄
- 各駅の事務室、定期券発売窓口で購入可能。
鉄道事業者によっていろいろありますが、とりあえず、子供の年齢を確認できる公的証明書(保険証など)を持って駅に行き、定期券を買えるタイプの自動券売機(なければ通常の自動券売機)で「小児用PASMOの購入」が選択肢に出てくるか、試してみることをオススメします。
選択肢に出てきたら、指示に従えばよいですし、出てこなかったら、駅係員に聞いてみるのが一番早いでしょう(出てこなかったら、その鉄道事業者は駅係員が対応する販売方法、という感じです)。
有効期限と切り替え方法
子供用のSuica、PASMOは、「子供料金で乗れる最後の日」が有効期限。具体的には、小学校卒業年の3月31日までが有効期限です。中学生(大人料金)になる4月1日以降は、使用できません(買い物なども不可)。
何歳から何歳までが子供料金で、何歳からが大人料金なのか、料金計算はどうするのか、詳しくは次のページをご覧ください。
さて、有効期限が切れたあとも引き続き、そのICカードを使用したい場合、乗車時に大人運賃が引き去られる大人用Suica、PASMOへの切り替えが必要です。その際、チャージ残高は引き継がれます。
なお、大人用への切り替えは、有効期限が過ぎたあとに行えます。
子供用Suicaの切り替え
鉄道事業者によって異なりますが、駅の窓口や自動券売機で切り替える形が基本です。
- JR東日本
- Suicaエリア内にあるJR東日本の駅の「みどりの窓口」「話せる指定席券売機」、多機能券売機で切り替え可能。「話せる指定席券売機」では、オペレーターを呼び出して切り替え。
「話せる指定席券売機」は、上のリンク先で「『話せる指定席券売機』あり」となっている駅にあります。
- 東京モノレール
- 浜松町駅の定期券うりば、羽田空港第1ターミナル駅の南口案内所で切り替え可能。
- りんかい線
- 大崎駅を除く各駅の窓口で切り替え可能。
子供用PASMOの切り替え
鉄道事業者によって異なりますが、駅の窓口や自動券売機で切り替える形が基本です。
とりあえず駅に行き、定期券を買えるタイプの自動券売機(なければ通常の自動券売機)に有効期限が切れた子供用PASMOを投入し、切り替えできるかどうか試してみることをオススメします。
「大人用に切り替えますか?」と画面に出れば指示に従えばよいですし、ダメだったら駅係員に聞いてみるのが一番早いでしょう(ダメだったら、その鉄道事業者は駅係員が対応する切り替え方法、という感じです)。
オートチャージできる?
チャージ残高が少なくなったら、自動改札機を通過したとき、自動的にチャージしてくれるオートチャージ。
残高不足で自動改札機の扉が閉まり、気まずい思いをしないですむ便利なサービスですが、子供用Suicaでのオートチャージはできません。
子供用PASMOはオートチャージ可能。ただ、東急カードの「TOKYU CARD ジュニアオートチャージ」サービスへの申し込み、1320円の年会費が必要です。
年会費は、子供が複数いても1320円だけでOK。東急電鉄以外でも使え、ほかの鉄道事業者のPASMOを使ったポイントサービスに登録もできますが、オートチャージの条件や金額の設定は東急電鉄の自動券売機で行う、といった制約があります。
子供用モバイルSuica・PASMOは?
スマートフォンから手軽に利用できる、モバイルSuicaやモバイルPASMO。その子供用はありません。
使用履歴の確認方法は?
子供用Suica、PASMOの使用履歴は、大人用と同様に交通系ICカードのシンボルマークがついた駅の自動券売機などで確認、印字が行えます。
- Suicaを発売している鉄道事業者の自動券売機など
- 最大100件の履歴(直近26週間)を印字可能。
- PASMOを発売している鉄道事業者の自動券売機など
- 直近20件まで履歴を印字可能。ただ窓口に行くと、直近100件まで印字できる場合もあり。
チャージ残高の確認はスマートフォンからも、iPhoneではWalletアプリ、Androidではおサイフケータイアプリなどを使って行えます。
なくした場合 再発行は?
子供用のSuica、PASMOを紛失した場合、再発行が可能です。
Suica、PASMOエリア内のおもな駅、JR東日本の新幹線停車駅の窓口、バス営業所で、Suica、PASMOを紛失したことを申し出ると、紛失再発行の手続きをしてくれます。
そして翌日以降、14日以内に、Suicaを紛失した場合はJR東日本のSuicaエリア、JR東日本の新幹線停車駅にある「みどりの窓口」で、PASMOを紛失した場合はPASMOエリアの駅、バス窓口などで、再発行が可能です。
紛失再発行の手続き、再発行とも、子供の公的証明書(保険証など)が必要です。
チャージ残高は引き継がれますが、再発行には520円の手数料と、新しいカードの預かり金(デポジット500円)を支払う必要があります。