「カシオペア紀行」ツアー 子供と乗ってみた 個室&ダイニングカー

どんな電車・列車?

上野駅で発車を待つ寝台特急「カシオペア紀行」

上野駅で発車を待つ寝台特急「カシオペア紀行」

子供とおすすめの電車・列車「カシオペア紀行」は、「観光列車」に分類できる電車・列車です。「乗ること」自体を楽しめます。

おすすめポイント

ベッド状態にした「カシオペアツイン」

ベッド状態にした「カシオペアツイン」

夜通し走る寝台列車
列車のベッドで寝て、目覚めたら遠いところにいる――そんな非日常感満点の、ロマンあふれる体験ができます。
数少なくなった寝台列車
かつて多く走っていた寝台列車も、現在はごくわずかだけ。特に、従来の寝台特急列車の流れをくむのは、寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」と、この「カシオペア紀行」しか残っていません。
すべて個室寝台
客室はすべて個室なため、子供がいても気楽に過ごせます(もちろん、騒いではいけませんが)。
ラウンジカーを連結
寝台特急「カシオペア紀行」は、ソファを置いたラウンジカーを連結。子供が自分の部屋に飽きたら、このラウンジカーで過ごすことも可能です。
もうすぐ引退?
寝台特急「カシオペア紀行」は、機関車が客車をけん引するタイプの列車です。しかし運行するJR東日本は、「近い将来に機関車を基本的に廃止する計画を持っている」と言われています。機関車が廃止されると「カシオペア紀行」の運行は困難。そのため、「カシオペア紀行」は引退が近いのではないか……とのうわさがあります。
寝台特急「カシオペア紀行」のラウンジカー

寝台特急「カシオペア紀行」のラウンジカー

子供と乗ってみた

恵 知仁(鉄道ライター)

寝台特急「カシオペア紀行」に乗ることが決まってから、「あと何日?」「あと何回寝たらいい?」と、毎日のように、息子(当時5歳)が聞いてくるようになりました。

最初は私が「あと14回寝たら」などと伝えていましたが、「あと9回……」「あと5回……」と、だんだん自分だけで、カウントダウンできるようになっていった息子。よっぽど楽しみだったのでしょう。

ついに来た、その当日。ホームで記念写真を撮っていると、息子のポージングがいつもよりダイナミックな気がします。

上野駅で発車を待つ寝台特急「カシオペア紀行」

上野駅で発車を待つ寝台特急「カシオペア紀行」

定刻15時50分、「カシオペア紀行」は盛岡駅に向けて、上野駅13番線を発車。利用した客室は標準的な「カシオペアツイン」で、湾曲した窓から空まで大きく見える2階の部屋です。

さて、この当時の息子は、なぜかキノコが大好き。公園や山へ行くと、キノコ探しにいそしみます。

今回の「カシオペア紀行」乗車にあたっても、「きのこ図鑑」を持っていくと言って聞きません。大きなハードカバーの、重い、子供向けの図鑑です。「自分のリュックに入れて持つから!」と息子は主張しますが、なんだかんだで、親が持つことになるのは目に見えています。

寝台特急「カシオペア紀行」の「カシオペアツイン」

寝台特急「カシオペア紀行」の「カシオペアツイン」

憧れの「カシオペア紀行」へついに乗車した息子は、主張を譲らず持ってきた愛読書の「きのこ図鑑」を出して、それを窓の外へ披露しながら、自慢げに手を振ります。

その状況で、京浜東北線と並走する場面もあったのですが、その京浜東北線から我が子を見た人が何を思ったか、私には想像が難しいです。

ツアーについている夕食の「カシオペアスペシャル弁当」は、質的にも量的にも満足できる内容でした。私と妻の2人分を、息子と3人で食べて、おなかいっぱい。材料や調理法が違うのか、通常の駅弁よりワンランク上の味がします。「カシオペア紀行」でテンションが高まっているから、というわけではなく。

「カシオペアスペシャル弁当」のシメジをくわえる息子

「カシオペアスペシャル弁当」のシメジをくわえる息子

しかし「別腹」というものが、妻にも息子にもありました。

個室に突如、アラームが鳴ります。「カシオペア紀行」はすべて個室。そのため車内販売が来ると、それを知らせる音が鳴るのです。

寝台特急「カシオペア紀行」車内販売のアイス

寝台特急「カシオペア紀行」車内販売のアイス

アイスクリームが、妻と息子の「別腹」に入って行きます。もっとも私の「別腹」には、大量のアルコールが入っているのですが。「カシオペア紀行」は、各個室にお手洗いがついているので安心です。

20時を過ぎて、まもなく福島県の郡山駅に到着するころ、そろそろ寝る準備。我が家では普段、20時に横になります。

郡山駅に到着した寝台特急「カシオペア紀行」

郡山駅に到着した寝台特急「カシオペア紀行」

乗車した「カシオペアツイン」の客室は、ソファを変形させてベッドにします。

その話をすると、「やるー!」と鼻息荒く、目を輝かせる息子。寝る直前まで、「カシオペア紀行」は興奮の列車だったようです。

寝台特急「カシオペア紀行」で眠る息子

寝台特急「カシオペア紀行」で眠る息子

意外とすんなり、息子は夢の世界に入りました。

上野駅で乗車してから、息子は11号車のラウンジカーと、1号車の行き止まりにある客室「カシオペアスイート」のあいだを、少なくとも2往復はし(11号車から1号車までは片道約220m)、隣の客室に乗っていた祖父母の部屋で甘え倒していたので、体力を使い果たしたのでしょう。

ただ「カシオペアツイン」のベッドは、横幅80cm程度のものを2人分、L字状に設置。5歳児との添い寝は、なかなかに厳しいものがありました。ほぼ、身動きとれずです(息子と添い寝した妻が)。

「カシオペア紀行」ダイニングカーのパブタイム

「カシオペア紀行」ダイニングカーのパブタイム

ちなみに息子が寝たあと、祖父母に様子を見てもらって、妻と2人で事前に申し込んでいたダイニングカーのパブタイムに行きました(21時45分開始)。

しかしこのことは、息子にはいまだ言っていません。「『カシオペア紀行』には食堂車もあるけど、コロナで使えないんだってー」ということにしています。パブタイムは子供NGだったので。

大きくなってこのページを見た息子よ、ごめんなさい。

寝台特急「カシオペア紀行」備え付けのノートに思い出を書く

寝台特急「カシオペア紀行」備え付けのノートに思い出を書く

そんなことがあったとはつゆ知らず、朝5時ごろ、岩手県の一ノ関駅へ停車中に目覚めた息子。まず、11号車ラウンジカーと1号車「カシオペアスイート」とのあいだで、何度目かはもう忘れたウォーキングです。

そして再びラウンジカーへ向かい、置いてあった「カシオペア思い出ノート」へ、息子はなにやら集中。「カシオペア紀行」の車両の絵と、「けしきがあめのときにまたのりたい」というメッセージを残していました。

運転区間・予約・料金

運転区間
子供とおすすめの電車・列車「カシオペア紀行」は、上野駅(東京都台東区)と、盛岡駅(岩手県盛岡市)、青森駅(青森県青森市)、秋田駅(秋田県秋田市)、長野駅(長野県長野市)などを結びます。
予約・料金
子供とおすすめの電車・列車「カシオペア紀行」は、ツアー専用列車(団体列車)としての運転です。そのため、ツアーの主催会社、内容によって、予約方法や旅行代金は異なります。東京発着の標準的なツアーでは、10万円台の旅行代金が多いようです。
ツアーに子供が参加できるかどうか、通常の列車のように幼児は無料で参加できるかどうかは、その主催会社に確認する必要があります。我々はJR東日本びゅうツーリズム&セールスのツアーを利用し、幼児は席も食事もなしでよければ追加料金なし、という形でした。またダイニングカーで、幼児の席は用意できないとのこと。
所要時間の目安
15時間30分程度(上野~盛岡)。
公式サイト